活動方針

沼えび


1.主な産地

一関市花泉町


2.特徴

 沼えびは、湖沼やため池、河川など全国全地に生息しています。産卵後、半年から1年で体長は55mm程になります。魚体は淡灰白色でねずみ色の横縞が透けてみられ、加熱によりカロテン色素が赤色を現します。


3.生産の歴史的由来

 花泉は、水稲を中心とする日本の伝統的な農村地帯で、水田につながる堤やため池が2000か所もあったといいます。沼えびの生息環境が湖沼、ため池、堤、河川であるところから各農家のため池に昔から生息していました。ため池、堤は波浪の影響が少なく水草が育ちやすく、水草は立体的な構造を持つので、その茎や葉を利用して夏に産卵し、成長していく場であります。自然環境により水草の少ない池は、杉の葉を束ねて竹にくくりつけ、池の縁に吊したりします。又、水田に水を引くさいに沼えびも移動するので、きれいな用水路(酸素が多く、透明度高い)にも生息しております。

 近年、農村地帯は都市化によりため池や水田の消失が多くなり、さらに、池の護岸整備、農業生産の効率化のための水路の改修、農薬の使用などにより、限られた少数の農家のため池に生息している状況です。

 また、養殖の取り組みも始まっているようですが市場流通にはまだ至っておりません。

 10月20日の恵比寿講の頃に、ため池の水を抜いて池の底を干し、池底の泥を取ったり、水草を刈ったり、沼えびやふな等の魚を取り、池の維持管理(池が浅くなったり、富栄養化が進行する事を抑える)が行われていました。


4.現在の代表的な採取方法

 沼えびの採取の時期は、秋から冬にかけて行います。採取は、池の渕につるしておいた、水草の代わりになる杉の葉や笹の葉の束の下にそっとたもを入れ、集まってくる沼えびをすくい取ります。沼えびは、杉の葉より笹の葉のほうに良く寄り付きやすいです。来客のあった時や家族で食べたいときなど手軽に採取でき重宝します。


5.伝統的な食べ方・行事とのかかわり

 沼えびは、ふなは神様に供えると共に家族の食卓を潤す食材でした。えびは加熱により鮮やかな赤色が現れるので、湾曲の形とともに慶び 事の席に珍重されました。

 棟上げ、御祝儀の餅料理には必ずえび餅を作り祝いました。

 正月の雑煮の具材には、美味しい縁起の良い沼えびが入ります。日常の来客接待には、自宅のため池から「たも」(沼えびを採集する網)ですくって新鮮なまま料理するのが、もてなしでした。

 そのほかの食べ方として、しょうゆや甘酢味で大根おろしと混ぜていただいたり、おひたしの上にのりなどと一緒にふりかけたり、から揚げやてんぷらなどに利用しています。

 また、茹でて冷凍保存するといつでもいただくことが出来ます。



えび餅

■材料(4人分)

餅…320g(8切)
沼えび…60g
醤油…小さじ4
甘酢大根おろし
大根…200g
酢…大さじ2
砂糖…小さじ2
塩…少々

■作り方

①沼えびを丸ごと炒り、醤油で味を整えます。
②①の中に搗き立ての水餅を両手で切って入れて、えびをからめます。
③皿に盛り付けて、たっぷりの甘酢大根おろしといっしょに供します。