研究会便り

豪雪の西和賀町・沢内を訪ね、冬の食文化を学ぶ

日時 2012/1/29(日)
会場 ドライブインおよね

第一部:ドライブインおよね店主 佐々木覓(もとむ)氏のお話


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<プロフィール>
旧和賀郡沢内村生まれ
佐々木氏は、農協の指導員などを経て、西和賀地区農協の組合長になるなど、長年に渡って沢内の農業に関わってきた。
元JA西和賀組合長、第14回雪国文化賞受賞
現在は、沢内の郷土食が味わえる食堂 ドライブインおよね の店主を務める。
食堂には、定食にも登場した、佐々木さんお手製の凍み大根やじゅうね(エゴマ)味噌などが並ぶ特産品コーナーもあり、沢内の旅のお土産に最適。 ※お店の名前である‘およね(お米)’さんとは、飢饉の時に、年貢米の身代わりにお城に上がった女性で、この地区の民謡‘沢内甚句’にも歌われ、地区内には、およねを偲んで建てられた像もある。

 

二階に到達するようなすごい雪!
各家々の一階の窓には、雪で窓ガラスが割れないように、板張りをしていた。


沢内地区…誰もが知る豪雪地域。
西和賀町は、岩手県中西部に位置し、平成17年11月1日、旧和賀郡湯田町と同郡沢内村が合併し、和賀郡西和賀町となる。
三方を標高1,000m級の奥羽山脈に囲まれ、残りの一方は秋田県横手盆地に向かって開かれている。冬季は2m以上の積雪となり、豪雪地帯対策特別措置法にて指定された特別豪雪地帯である。

<佐々木さんのお話>

沢内地区は、2~3年に一度、冷害に見舞われる厳しい気候の土地だが、住民は試行錯誤を繰り返し、家族や地域で協力し合って農業や狩猟などで生計を立ててきたという。
その厳しい環境の中でも、山に囲まれている土地柄、わらびなどの山菜や、クルミ等の木の実などなど、季節の山の恵みにあふれる地域である。

☆冬の食物貯蔵

冬は秋の収穫物を雪の下に貯蔵しておく。雪は上から解けていくので、下の方は温度の変動が少なく、食物の貯蔵に最適であるそう。
秋のうちに収穫しておいた人参や大根などは、低温馴化<ていおんじゅんか>(※生体が0℃~マイナス1℃の環境におかれると、植物が凍るまいと生長状態から休止状態に変化し、細胞の構造や成分が著しく変化する)によって、野菜そのものの甘みが増す。

☆冬の保存食

乾燥わらび、漬物‘大根の一本漬け’、寒さと乾燥した空気を利用して作る‘凍み大根’

凍み大根について

行程
①大根の皮を剥いて縦割りにする
②特に寒い日の水路に一晩さらす
③軒下に吊るして乾燥させる。
県内ではどこでも作る冬の保存食だが、沢内の凍み大根は、褐色で、甘みが強い。どこが違うのかというと、他の地区は色止めの為に吊るす前に茹でるとのこと。
沢内の方は、大根が生長状態のまま冷たい水にさらされることで、単糖類が多糖類に変わって甘みが増すと同時に、茶色く褐変する。

☆冬の収穫

年で一番早く収穫できる野菜の野蒜(ノビル)、カタクリの花、温泉熱を利用して栽培する花卉(りんどう)など。
その一つ、野蒜(ノビル)を収穫するという予定だったが、あいにくの前日の大雪で畑に人が入られる状態ではない為、やむなく中止。
野蒜とは、ユリ科ネギ属の植物。葉と共に鱗茎を食用とし、生命力が強く、どこでも育つ性質である。秋田で栽培されているのに倣い、沢内でも冬の貴重な収穫物として栽培され始めている。雪を掘り起して収穫するが、雪に守られたその身は、やわらかくておいしいとのこと。
是非次回は食してみたい。
 

佐々木さんのお話を伺って一番印象に残ったことは、沢内は冬の時期が長く厳しいが、一見デメリットと考えがちなことを特徴ととらえて、上手に生かして共存していこうとする人々の生き方が、西和賀の生活・農業を支えているということ。今もなお、自然と向き合って、共存しながら生きている姿を垣間見て、自身の生き方も考えさせられた。

昼食:冬の沢内の食文化を味わう

待ちに待った昼食。
今回は、西和賀の冬の味覚:《およね定食》を頂いた。



お膳上段 左から
① しワラビ、姫竹、凍み大根、こんにゃく、凍み豆腐の煮付け
(味が染みて美味!ワラビが柔らかく、凍み大根の甘みが格別。)
②菜の花とささみの胡麻和え
③デザート 自家製干し柿、いちご、オレンジ)

お膳中段
④ビスケットのてんぷら
(かあさんビスケット(懐かしい!)を生地で揚げたもの。今や有名な一品)
⑤さくのおひたし
⑥じゅうねみそ
(ごはんのお供にも。ゴマの様な独特な香りが香ばしい。)

お膳下段
⑦おふかし
⑧大根の一本漬け
⑨白いんげん豆の煮豆
⑩山菜手打ちそば

(担当:井上)
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