研究会便り

豪雪の西和賀町・沢内を訪ね、冬の食文化を学ぶ

日時 2012/1/29(日)
会場 ドライブインおよね

第2部:渡辺農園を経営されている渡辺哲哉・まい子さんご夫妻のお話


第一部はこちら


<プロフィール>
哲哉さん
広島生まれ
東京の出版社での勤務を経て、1996年に西和賀・沢内へ移住、農業を始める。2002年に、まい子さんと結婚。

まい子さん
青森県十和田市生まれ
2002年に、哲哉さんとの結婚を機に西和賀へ移住し、夫婦で農業に従事。
現在は農業と3人の子育てにも奮闘中。

<渡辺農園の特徴>

経営の柱は、夏期のりんどう栽培の市場出荷。
並行して、無農薬栽培の作物(米、小麦、野菜類)や地元の工芸品のインターネット直販も行っている。
冬期は、哲哉さんは県の臨時職員として土壌分析の仕事、まい子さんは、あけび細工を習得すべく地元の職人から習いつつ、出来たものはインターネットで販売を開始している。

※以上、簡単に書きましたが、渡辺農園のweb「奥羽の山里農村いちば」(http://ouu-yamazato.com/)は、ご夫妻の詳細なプロフィールを始め、取り組んでいる作物、インターネット販売、あけび蔓細工、沢内の代表的な郷土料理(凍み大根、大根の一本漬け、ビスケットの天ぷら等)まで網羅されており、西和賀の生活と農業に対する想いを知ることが出来る充実した内容となっています。是非、一度ご覧になってみて下さい。

<哲哉さん、まい子さんのお話>

共通していたのは、「他地域からの新規就農移住者として、日々体験している事から思うこと」、でした。客観的な視点で西和賀の現状を見据えており、より良くするための「仕事の仕方や考え方」を考えていく事と、「どういう想いで暮らしていくか」が重要ではないか、という事でした。

《哲哉さんのお話》


地域の風土を生かした農業

りんどう、わらび、(加工品)漬物、凍み大根、「西和賀型複合農業」(水稲、花き、畜産)

「半商品」としての農の「営み」の付着した農産物の提供

単に良質な農産物、というだけではなく、その物の背景にある沢内での生活や「農」という生き方の提示も付加したオリジナリティを持ったものにしたい→沢内の情報発信と一体化した農業

困難な冬の農業

ハウスのある農家は、ゆり(りんどうの育苗)、しいたけ栽培、漬物等の農産加工、蔓細工などの手仕事。渡辺農園では、土壌分析のアルバイト、蔓細工。以前は、豪雪地帯ならではの除雪の仕事をやっていたが、天候に左右される不規則な勤務、時間帯で、農業について想いを巡らせる時間が減ってしまう為、断念。冬は農業を考えない構造になってしまっており、沢内の農業のために良いのか疑問がある。

「半農半X」が理想の姿なのか?

農業はあくまで少数派なのか。大家族、多面的機能が沢内での生活を可能にしていたように感じている。

《まい子さんのお話》

雪国の中で生活し、子育てしていくことについて…年々厳しくなっていると実感
冬は晴れの日が少ない(たいがい曇りや雪)ので、家の中にいることが多く、気が滅入る。深刻な問題…
決して便利とは言えない土地で、地元の人々が何故暮らしているのかを考える…土地を守る、という想いが大きいのではないか。
それゆえ、視点を変え、雪国ならではの良さを見出し大事にして生かし生活していかないと、ここにいる意味がないと思っている。実行には移せていないが、色々と想いはある。(その中の1つ、興味のある手仕事(蔓細工)については、地元の方から習い始めている。)
地元の食文化…寒さを利用したもの、冬期に仕込むものも、夏の期間に段取りが必要。冬にいきなり取り掛かってすぐに出来るものではない、と実感。

帰り道で

「深澤晟雄(まさお)資料館」へ
旧沢内村の時代に、「人間の尊厳・生命尊重こそ政治の基本」という信念のもと、全国に先駆けて乳児と老人の医療費無料化を実施。わが国初の乳児死亡ゼロを達成した村長さんです。その業績と精神を後世に伝えようと整備された資料館です。初めて入りましたが、小さな建物に深澤村長さんに関連するありとあらゆる物(服や使用していた机、愛用の品、手紙など)、情報が満載でした。私自身は小学校時代に道徳の教材として取り上げられていた為、そこで知りました。昭和の頃の話ですが、決して廃れるような内容ではなく、むしろ今の時代にも通じるし、より必要とされている普遍的な理念ではないかと思います。
熱心に解説して下さった職員の方、ありがとうございました。

 

※余談ですが、例会が行われた1/29の天気は「晴れ」。西和賀の方々に聞くと、久しぶりの晴れ間だったそうです。前日までは曇りと吹雪が続いていたとのこと。翌月曜日は、確か盛岡まで吹雪でしたので、貴重な晴れの一日だったのですね…。そんなとっておきの日に、当研究会の集まりにお時間を取っていただき、本当にありがとうございました。
(担当:小西)